都市部から離れた郊外にラブホテルはたくさんありますが、そのメリットは何でしょうか。
また、デメリットも存在するのでしょうか。
郊外型のラブホテルは土地が安いメリット
土地葉 「さて、私は1時間目の授業、ラブホテルの立地について語ります。今度はちょっと、別の方に聞いてみましょうか。そこの素敵な娘さん、ええ、あなたです。そこの赤いリボンを付けた娘さん。お名前は?」
マイコ 「マイコです」
土地葉 「マイコさん、まだお若いのに、将来はラブホテルの経営を希望ですか」
マイコ 「はい。母子家庭で、まだ子供が小さいのですが、将来を考えると、お金になる仕事に就きたいと思っています。ラブホテルに興味があります。経営とまではいかなくても、まずはラブホテルで働いてみたいと思って来ました」
土地葉 「なるほど。そうですね。この授業はまた日を改めて、【ラブホテルの従業員になるには?】と言う授業も用意されています。また、そちらの方にもご参加下さいね。では、マイコさん、質問です。例えばマイコさんの念願であるラブホテルの経営に、めどが付いたとします。出資者が現れたとでも考えて下さい。不動産屋に行くと、郊外の物件と、都心のラブホテル街にある物件、両方が売りに出されていました。さて、マイコさん、あなたならどちらの物件を欲しいと思いますか?」
マイコ 「え? いきなりですか? どうだろうな」
土地葉 「では順番に考えてみましょう。郊外のラブホテル、メリットは何だと思いますか?」
マイコ 「窓を開けてしても、大丈夫」
教室から笑いが起こる。
土地葉 「確かに、そう言った面もあるかもしれませんね。素晴らしい答えですよ。男女が愛し合い最中に、窓を開けても、音が近所の迷惑にならないからですね。でもそのメリットはお客さんのメリットですね。確かにお客さんのメリットは我々経営者のメリットでもあります。ですが、今は、もう少し経営者の視点からメリットとデメリットを考えてみましょう。郊外にラブホテルを作るメリットは何でしょう?」
マイコ 「ええ、何だろう。全然分からないです」
土地葉 「考えて見て下さい。あなたは経営者になるのですよ」
マイコ 「ええ? ええと、土地が安い?」
土地葉 「素晴らしいですね。土地が安い。郊外のラブホテルが持つメリットです。黒板に書きます」
土地が広く取れる
土地葉 「さて、マイコさん、その調子でもう一つ、私、土地葉の質問にお答え下さい。土地が安いと、なぜ良いのですか?」
マイコ 「え? もちろん、買うときに安い値段で買えるからじゃないですか?」
土地葉 「そうですね。土地が安ければ、取得する金額も少なくて済みます。初期費用を抑えて、回収をははや...」
土地葉先生の入れ歯が落ちる。土地葉先生は拾って口に押し込む。
土地葉 「失礼しました。初期費用を出来るだけ抑えれば、その分、借り入れの返済も早くなるので安全です。そして、土地が安いと、もう一つメリットがあります。ホシノさん、何だと思いますか?」
ホシノ 「俺っちかい? 土地が安いと、土地を広く使えるってやつだろ?」
土地葉 「ホシノさん、あなたはもしかすると、この世界で大成功を収められるかもしれませんよ。その調子で頑張って下さいね。その通りです。土地が安いと、土地を広く購入できるわけです。ホシノさん、素晴らしいです」
ホシノ 「そんな、照れるじゃんか、よせよ、じいちゃん」
立て看板の広告宣伝費が掛かるデメリット
ホシノ 「デメリットはあるのか? 郊外の」
土地葉 「もちろんです。まず、近所の住民から評判が悪いです。こんな畑の真ん中に、変なホテル建てやがってと言った具合に、あまり好意的な目で見てもらえません」
ホシノ 「まあ、良いじゃねえか、別に」
土地葉 「また、土地も建物も安くなりますが、立て看板などの宣伝費用が余分に掛かるデメリットもあります」
ホシノ 「立て看板って、あの道沿いに立っているホテルの看板か?」
土地葉 「そうです。まず、看板を制作してもらう費用と、後は看板を掲載する費用、両方がかかります」
立て看板でラブホテルの存在を知ってもらう努力をする
土地葉 「コツとは、設置場所ですか?」
ホシノ 「設置場所もそうだけどさ、書き方とか」
土地葉 「設置場所のメインは、インターチェンジの出口で最初に止まる信号付近とか、とにかく皆さんが自動車を止める場所に、看板を設置します」
ホシノ 「書き方は?」
土地葉 「そうですね。ポイントは単純ですが、ラブホテルだと分からせる書き方ですね」
ホシノ 「ラブホテルと分かる書き方?」
土地葉 「ええ。例えば、マクドナルドの看板なら、マクドナルドのマークが出ていますね? コンビニの立て看板なら、コンビニの名前やロゴマークが書いてあります。ですが、私たちラブホテルが真似して看板に自分たちのホテル名だけ、例えば『ドルフィン』とだけ書いても、見た人は何の宣伝だか分からないわけです。ですから、ホテル名よりも、『ラブホテルがある』と知ってもらえるような看板を作ります」